労働問題Q&A一覧

こちらは、労働問題Q&A一覧です。これらは、あくまでも一般的な考え方を示したものです。

個別事例によって変わることがありますので、詳しくはNPO法人ひょうご働く人の相談室までお問い合わせください。 

非正規雇用・派遣労働など

Q1 「無期転換制度」で正社員になれるのですか。
 回答

有期雇用から雇用期間の定めがない契約になりますが、正社員になれるわけではありません。

「無期転換制度」とは、有期雇用労働者が同じ雇い主のもとで通算5年を超えて働いた場合に、本人が希望すれば無条件に無期雇用(雇用期間の定めがない雇用)に転換するという制度です。

正社員と非正規社員の一番大きな違いは雇用期間の定めがあるか否かです。非正規雇用労働者の雇用安定を図る目的で平成25年4月にこの制度がスタートし、30年4月1日に大勢の皆さんが該当することになりました。ただ、自動的になれるわけではなく本人の申し出が必要ですので注意が必要です。また、あくまでも契約期間の定めが無くなるだけで、正社員になれるわけではありません。また雇い主が変わった場合や途中に一定の空白期間ができた場合には通算できないこと、労働条件も従前どおりでかまわないということなどの問題があります。

Q2 派遣で働ける期間制限があるのですか。
 回答

派遣先事業所単位に3年、派遣労働者単位に3年とそれぞれに期間制限があります。 

2015年の法改正により、事業所単位・労働者単位それぞれにおいて3年の期間制限ができました。これまで期間制限がなかった専門職についても、同じようにこの期間制限を受けることになりました。

同一の事業所に対して派遣できる期間は原則3年が限度です。3年を超えて受け入れる場合には派遣先の過半数労働組合などの意見を聞く必要があります。

同一の派遣労働者を派遣先の事業所における同じ組織単位(課など)に対して派遣できる期間も3年が限度です。

ただし、60歳以上の人や派遣元に無期限雇用されている派遣労働者にはこの制限はありません。

派遣元・派遣先が脱法的な運用をして、同じ派遣労働者がたらい回しにされたり、都合良く雇い止めにされたりすることがないよう留意が必要です。

Q3 派遣労働者の「労働契約申込みなし制度」とはどういうものですか。
 回答

派遣先は違法派遣を知りながら受け入れていた場合に直接雇用しなければならなりません。

派遣先は違法派遣と知りながら派遣労働者を受け入れている場合、違法状態が発生した時点で、派遣先が派遣労働者に対して、労働契約の申込み(直接雇用の申し込み)をしたものとみなされます。(派遣法第40条の6)

つまり、派遣先は派遣労働者を直接雇用しなければならなくなるというものです。

※ 対象となる違法派遣とは

  • 派遣禁止業務に従事させた場合
  • 無許可の派遣元から派遣労働者を受け入れた場合
  • 期間制限に違反して派遣労働者を受け入れた場合
  • いわゆる偽装請負
Q4 正規社員と同じ仕事をしているのに賃金に差があるのですが。
 回答

合理的理由のない格差は認められない。

正規労働者と契約社員、パート労働者・派遣労働者などの間で、業務の内容や責任の程度、人事異動などが同じであれば、同じ労働条件でなければなりません。特に、雇用期間の定めがあることだけを理由に労働条件に格差を設けることは許されません(特に賃金・教育訓練・福利厚生)。

しかし、「合理的理由」とは何なのかは個々の事例により異なり基準が曖昧なため、紛争が絶えないのが実情です。

また、企業は正社員を募集するときは、現在雇っているパート労働者に募集内容を知らせ応募する機会を与えるなど、正社員へ転換を進めるための措置を講じなければなりません。

Q5 契約期間を前に「これ以上更新しない」と言われたのですが。
 回答

有期雇用労働者の場合でも、一定の条件を満たすときは、正社員の解雇に相当する理由が必要です。

有期契約は、臨時・短期の必要性に基づき契約するものですが、人員調整を容易にするため、便宜的に有期契約として、これを繰り返していることが多々あります。こうした場合、更新手続がずさんだったり、ときには更新手続を省略したりして、そのまま引き続き雇用関係が続いていく例が見られます。

このような場合の更新拒絶にあたっては、通常の「解雇」に相当する正当な理由が必要となります。

形の上で有期契約となっている場合でも、契約更新の可否について審査されることなく、無条件に更新されているときや、期間満了後しばらくたってから、機械的に文書を作成するだけのときは、実質的には期間のない定めの雇用と考えられ、契約更新について合理的な期待が認められます。

また、更新がたびたびくり返され、特に問題がなく更新されてきているときは、実質的に期間の定めのないものと考えられる場合があります。

裁判となった場合、こうした場合の更新拒絶(雇止め)は、正社員の「解雇」と同じで、客観的・合理的な理由があり社会通念上妥当と認められなければ無効と判断されます。

Q6 契約期間の途中で「辞めてくれ」と言われたのですが。
 回答

「やむを得ない事情」がない限り、途中解約はできません。

契約期間を定める契約は、解約について特約がない限り勝手にその期限満了前に契約を解約することはできません。これは、労働者や使用者を問わず同じです。

どうしても契約を続けられない「やむを得ない事情」がある場合に限って中途解約が認められます。

単に「仕事量が減ったから」といった理由は、「やむを得ない事情」とは認められません。

解約が専ら会社側の都合による場合は、会社は途中解約によって生じた労働者の損害を賠償しなければなりません。損害の範囲は契約が解約されなかったならば得られたはずの利益(残りの期間の賃金)相当額になります。

Q7 契約期間の途中で辞めたいのですが。
 回答

原則として労使ともに期限を守る義務があります。

有期雇用契約の場合は、使用者、労働者ともに勝手に期間満了前に契約を解除することはできません。「やむを得ない事情」があるときに限り認められます。

ただし、あらかじめ示された労働条件と実際の労働条件が違う時はいつでも退職することが出来ます。

労働者の「やむを得ない事情」としては、自分の病気治療や家族の介護・転勤などで働けなくなった場合などが典型的な例と言えるでしょう。

内定・採用時のトラブル

Q8 内定を取り消されたのですが。
 回答

すでに労働契約は成立しており、内定の取り消しには制限があります。

会社の募集に対する労働者の応募は、「契約の締結の申し込み」とされ、その申込みに対する会社からの内定通知は「承諾」となり、ここで条件付きで労働契約が成立したことになります。

内定取り消しについての判例は、「内定当時知ることができず、また知ることが期待できない事実で、これを理由に内定を取り消すことが、社会通念上相当と認められものに限る」としています。

なお、労働契約の申込み・ 承諾は、口頭でも成立するので、内定通知は必ずしも文書が無くても認められます。

Q9 働く条件がはっきりしないのですが。
 回答

会社は、労働条件について書面明示しなければなりません。

労働基準法第15条では、会社に対して労働条件の明示を義務づけています。とくに、①労働契約の期間、②仕事をする場所、内容、③始業・終業時刻、休憩時間、休日、休暇、残業の有無、交替勤務の場合の就業時転換、④賃金の決定、計算・支払方法、締切と支払時期、⑤退職事項(解雇事由含む)については、書面で明示しなければなりません。

求人や面接時の約束と労働条件が違っていたら、会社に約束が違うことを伝え、契約の内容を誠実に守ってもらうよう会社に求めます。

もし、働き続ける意志がない場合、契約内容が違うことを理由に、ただちに労働契約を解除(退職)することが可能です(労基法第15条2)。

Q10 給料が約束と違うのですが。
 回答

会社は、賃金に関する事項は書面明示する義務があります。口頭契約であっても有効です。

ハローワークの求人票や求人広告で応募し、給料の説明も受けたのに、実際受け取った給料が少なかった場合があります。約束と違うことが明らかな場合、当初の契約内容と実際の賃金との差額は未払い賃金となり、会社に請求することができます。また、契約内容が違うことを理由に、ただちに労働契約を解除することもできます。

口頭契約であっても有効ですが、トラブルを避けるために、働くきっかけとなった求人票や求人広告、毎月の給与明細、会社からもらった説明書、就業規則などは、大切に取っておきましょう。

Q11 突然、勤務シフトを減らされたのですが。
 回答

合理的な理由がない限り、一方的な労働条件の不利益変更はできません。

契約では週5日働くことになっていたのに、「暇になったから」と、突然、勤務シフトを減らされることがあります。まず、「暇になったから」といった合理性を欠く理由で、勤務シフトを減らすことはできません。会社に対して、契約どおりのシフト数に戻すよう言いましょう。

また、どうしてもシフトを減らすと言われたら、減らされた日は休業手当の支払を求めることができます。

仮に「暇になった」ことが事実だとしても、その責任をあなただけが取る必要はありません。会社全体でカバーすることが必要なのです。 

賃金トラブル

Q12 「サービス残業」の残業代を認めさせるにはどうしたらいいですか。
 回答

勤務時間の記録を残すことが大切です。

労働基準法37条には「時間外労働(残業)、休日労働をした場合は割増賃金を支払わなくてはならない」と明記してあります。これを支払わない「サービス残業」は、明確な法律違反であって、刑事罰も定められています。例えば年俸制の場合でも、例外ではありません。

しかし、名目だけ管理職扱いをして対象外にする(「名ばかり管理職」)とか、「固定残業代」でごまかすなどの違法行為が後を絶ちません。また、労働時間の運用も「変形労働制」「みなし労働時間」など多様なために、どのような場合に未払いとなるのかが分かりにくいのが実情です。

実際には、具体的な事例ごとに、就業規則や労働契約と法令を照らし合わせて検証し判断することが必要です。

いずれにしても、最も大切なことは、実際の労働時間の実態を正確に把握して残しておくことです。特に、タイムカードがない場合や正確な実態を反映していないときは、何らかの出退時間記録やパソコンの記録、それもない時は自分のメモでもよいので残しておくようにします。

労働基準監督署に相談すれば、詳しく教えてもらえます。「未払い残業代」があることが分かれば会社に調査・指導をしてくれるように申告しましょう。

退職後でも請求できますが、労働基準法上賃金の時効は2年ですから、注意が必要です。

Q13 年次有給休暇を取得したら賃金カットされたのですが。
 回答

年次有休休暇の取得を理由に賃金カットはできません。

年次有給休暇は、労働基準法で定められた労働者の権利です。これを行使したことを理由に、賃金カットはできません。

年次有給休暇は、文字通り賃金が支払われる休暇で、所定労働日数に応じて最低付与日数が定められており、付与しないことはもちろん、最低基準を下回ることも許されません。

年次有給休暇は、労働者が請求するときに与えなければなりません。会社には「時季変更権」がありますが、単に人が足りないとか忙しいなどの理由では変更することは許されません。

Q14 遅刻3回で賃金カットされたのですが。
 回答

就業規則の制裁規定を確認してください。法律では制裁の上限が決められています。

遅刻等に対する減給などの制裁については、就業規則に制裁の種類及び程度に関する事項が規定されておれば、それに基づき賃金カットをすることは可能です。ただし、1 回の制裁による減額は、平均賃金の1日分の半額まで、また制裁の総額は一支払期間の賃金総額の10分の1を超えることはできません。

しかし、賃金規定等に基づく精皆勤手当の欠勤による不支給や遅刻早退による不就労時間相当分の控除は減給による制裁には該当しません。

最終的には、総合的に判断することになります。

Q15 自動車事故を起こし、会社から「弁償してもらう、給料から引いておく」といわれたのですが。
 回答

当然には賠償義務は発生しません。賃金と損害賠償金の相殺はできません。

仕事上のミスで会社に損害を与えても、当然には賠償責任は発生しません。しかし、事故の過失がどうであったかによって、会社が損害を請求する可能性があります。①損害額はいくらか、②過失責任は自分にあるのか。自分にあるとすれば、その責任はどのくらいか。③同様の事故について、これまでどのように扱われてきたか、などの事情により決まります。

労基法第24条で、賃金の5原則(①通貨で、②直接、③全額、④毎月1回以上、⑤期日を決めて)が定められており、かつ、違約金を定めたり、損害賠償額を予定する労働契約は禁止されています。ですので、給料から引いておくこと(=相殺)はできません。

Q16 「仕事がないので休め」と言われたのですが。
 回答

会社に責任がある場合、休業手当を支払わなければなりません。(労基法第26条)

天変地異など不可抗力によるものを除き、会社が経営上の理由で労働者を休業させる場合は、休業手当を支払わなければなりません。具体的には、平均賃金の60%以上の金額が必要です。

例えば、店舗改装のためや資材調達が間に合わない場合等がそれにあたります。会社に支払を求めて支払がされなかったら、労働基準監督署に行って、未払い賃金の申告を行います。

Q17 急に退職したら、社長が怒って給料を払ってくれないのですが。
 回答

退職は自由にできますが一定のルールがあります。賃金は、理由の如何を問わず支払わなければならなりません。

退職原則自由ですが、一定のルールがあります。一般的には、就業規則で決めている場合が多いのですが、とくに定めがなければ退職する日の2週間前までに会社に届けなければなりません。(民法第627条)労働者が突然退職して会社に損害を与えた場合、労働者は会社から実害に見合う損害を請求されることや制裁を課される可能性があります。

なお、事前に聞いていた労働条件と実際の労働条件が違っていた場合は、労働者は即時に労働契約を解除する(やめる)ことができます。

いずれにしても、どんな理由があろうと、会社は賃金支払いを免れることはできませんので、働いた分の賃金は請求できます。

労働保険・社会保険

Q18 辞めたくないのに退職届けを出してしまった場合、雇用保険は自己都合退職になってしまいますか。
 回答

本人の意思に反して退職届けを出したり、契約更新を拒否された場合は、自己都合退職にはなりません。

3月間の給付制限期間がある「一般受給者」は、定年退職者、自己都合退職者、懲戒解雇で、それ以外は、「特定受給資格者」、「特定理由離職者」になります。

「特定受給資格者」には、倒産、解雇による離職の他、上司や同僚から排斥された場合や退職勧奨された場合、明示された労働条件と実際の労働条件が大きく違うため離職した場合等が該当します。

「特定理由離職者」には、有期労働契約で本人が希望したにもかかわらず契約更新されなかった場合や本人の病気・妊娠出産、家族の病気などの事情で離職した場合などが該当します。

意に反して退職届けを出してしまった場合は「特定受給資格者」に、病気や家族の事情などで退職せざる得ない場合は「特定理由離職者」になる可能性があります。また事業主が離職票に「自己都合」と書いている場合でも、事情をありのままを説明すれば十分考慮されます。

自己都合退職かどうかは、事業主ではなくハローワークが最終判断しますので、きちんと説明することが大切です。

Q19 労働保険や社会保険に入ってくれないのですが。
 回答

一定の条件を見たせば、雇用保険も社会保険も強制加入となります。

会社に申し入れても対応してくれないときは、それぞれの保険窓口に申し入れてください。

  1. 労働災害補償保険(窓口:労働基準監督署)
    労働者を1人でも使用する事業主は加入しなければなりません。(農林水産業で労働者数が5人未満例外)
  2. 雇用保険(窓口:ハローワーク)
    次の二つの要件に該当する場合
    ①31日以上働く見込みがある、②一週の労働時間が20時間以上
  3. 社会保険(窓口:年金事務所)
    次の要件に該当する場合
    1週の所定労働時間及び1月の所定労働日数が常用労働者の4分の3以上
    * 例えば、正社員が1日8時間、週5日働いている場合、1日6時間、1ヶ月の所定労働日数が16日以上働くパート・アルバイト等は、社会保険への加入となります。
Q20 会社を解雇になったのですが、雇用保険に入っていませんでした。
 回答

遡及(さかのぼって)加入が可能です。

雇用保険は、一定の条件(①31日以上雇用見込み、②週の労働時間が20時間以上)を満たせば必ず加入しなければなりません。これは事業主の義務です。

もし加入していなかったとしても、2年間はさかのぼって加入することができます。でも、2年間だけさかのぼって加入しても、雇用保険を受給できる期間は最大でも180日(45才~60才の特定受給者)しかありませんので、気がついた時点で会社に雇用保険の加入を言うことが大切です。

また、給与明細では雇用保険料が引かれていたのに加入されていなかった場合、引かれていたことが確認できればその期間までさかのぼって加入できるようになりました。

給与明細はそんなにかさばりませんので、保管しておけばもしもの時に役立ちます。

解雇・退職強要

Q21 会社からしつこく退職を迫られ、「いますぐ退職届を出せ」と迫れているのですが。
 回答

退職する意思がなければ、安易に退職届を出さない。

「退職届」を出さなければ解雇すると迫られたり、不合理な配転を示唆されたり、さらには、仕事を取り上げて隔離及び威圧を与えたりと、非人間的な行為または脅迫と言えるような行為など、自由な意見が抑圧された状況の下で、労働者が意に反して退職届を出してしまったり、退職届の用紙に署名捺印させられてしまったりした場合、その退職届の取消しを主張することができます(民法第96条)。

しかし、一旦「退職届」を出してしまうと、取消しや無効の立証が難しいのが現実です。「退職届」を出す際には十分注意を払い慎重に行うことが必要です。

「退職勧奨」(使用者が自主退職をお願いする)なのか、「解雇」(会社都合で労働者をやめさせる)なのかを確認することが大切です。「退職勧奨」に応じるかどうかは本人の自由意志です。「解雇」であれば、その理由と区分(整理解雇・懲戒解雇・普通解雇)の説明を求めてください。

辞めるのは簡単ですが、再就職を考えると簡単には辞められません

Q22 突然、「明日から会社に来なくていい、解雇だ」と言われたのですが。
 回答

解雇には、①合理的理由が必要であり、②解雇手続きを踏まなければなりません。

解雇とは、会社と労働者の結んだ労働契約を、会社が一方的に終了させることですが、会社はいつでも自由に労働者を解雇できる、というものではありません。

まず、解雇には合理的な理由の存在が必要です。「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない解雇は、解雇権濫用」として無効となります(労働契約法第16条)。

また、理由がある場合でも解雇予告等の手続が必要です。解雇は、少なくとも30日以上前に労働者に予告しなければなりません。もし、予告しないで解雇する場合は、少なくとも30日分以上の平均賃金を労働者に支払う義務があります(労働基準法第20条)。

解雇をめぐって争いになった場合、当初の解雇理由に新たな解雇理由が追加されることがよく見受けられます。

もし、解雇だと言われたら、解雇の理由を説明させるとともに、「イヤです」とはっきり主張しましょう。もし解雇を強行した場合は、会社に解雇理由を書かせることが大切です。労働基準法第22条第2項では、解雇理由の証明書を請求することができ、使用者は遅滞なくこれを交付しなければならないとなっています。

まず、具体的な解雇理由と区分(整理解雇・懲戒解雇・普通解雇)を特定することが、今後の争いの中で大変重要になっていきます。

Q23 「リストラでクビだ」と言われたのですが。
 回答

リストラによる解雇(整理解雇)には4要件が必要です。

整理解雇には、次の4つの要件を満たす必要があり、そうでない場合は解雇が無効になります。

  1. 必要性=会社の維持及び存続を図るために、整理解雇が必要かつ最も有効な方法である。
  2. 解雇回避=他部門への配転可能性、新規採用の中止、希望退職の募集、一時帰休、関連会社への出向など、解雇回避のために一定の努力がされている。
  3. 人選の合理性=整理解雇の対象を決定する基準が、合理的かつ公平であり、併せてその運用も合理的である。
  4. 労働者との協議=解雇の必要性や規模、方法及び整理基準などについて十分に説明し、労働者に納得してもらう努力をしている。

「リストラ」といえば、何でも通用すると勘違いしている会社が多いのが現状ですが、きちんとした説明を求めることが大切です。簡単に、退職勧奨に応じない姿勢が必要です。

Q24 勤務態度が悪いので懲戒解雇すると言われたのですが。
 回答

解雇理由書の交付を求めましょう。  

懲戒処分をするためには、次の要件が必須です。

  1. 処分理由と懲戒の種類・程度が就業規則に明記されている。
  2. 同一事由に対する処分の種類・程度は同じでなければならない
  3. 違反行為の種類・程度に照らして相当なものでなければならない
  4. 労働者に弁明の機会を与えることが必要。

解雇をめぐって争いになった場合、当初の解雇理由に新たな解雇理由が追加されることがよく見受けられます。最初の説明内容が重要ですので、できるだけ書面で具体的な理由や根拠について説明を求め記録をとっておくことが大切です。

解雇には客観的で合理的な理由の存在が必要です。「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない解雇は、解雇権濫用」として無効となります(労働契約法第16条)。

退職・倒産など

Q25 会社が倒産しそうだと、取引先で噂になっています。
 回答

正確な情報をつかむことが大切です。

倒産と聞くと、もはや自分の職場はなくなると思われがちですが、それは誤りです。

倒産とは、手形不渡りによる銀行取引停止や、破産の申立、民事再生法の適用など、債務超過により、これまでどおりの経営が継続できなくなった状態を指します。

ですので、正確な情報をつかむことが何よりも大切です。そして、従業員が一枚岩に固まる必要があります。そのために労働組合を結成し、団体交渉で会社の状況についてキチンと説明させることが有効です。

きちんとした話し合いの相手がだれか、その相手の話が信用できるものかどうかも確かめる必要があります。

清算の場合は、労働債権(賃金・退職金など)を確保するためにただちに行動を起こさねばなりません。他の債権者と競争関係になることもあります。

Q26 賃金や退職金が未払いのまま会社が倒産してしまいました。どうすれば賃金確保できますか。
 回答

労働債権には優先権があります。

賃金・退職金などの労働債権は、抵当権などを除き、税金、社会保険料などに次いで、他の一般債権者に優先的に確保される「先取特権」という法律上の権利があります。しかし、行動なしには確保はほとんど不可能と考えられます。行動が早ければ早いほど、確保・回収の可能性は高くなります。未払賃金、規定による退職金、即日解雇のときの30日分の解雇予告手当などが、主な労働債権です。

会社の財産状況は、不動産登記簿を閲覧する、各種帳簿を閲覧することで取引先の売掛金残額、税金の滞納額などを確かめるなどしてつかみます。

会社側と協議して、優先権の確保への協力を求め、労働者が直接受け取るとか、債権の譲渡手続をしてもらう。会社側と協議できない状態のときは、差押など直接確保する行動をする。

また、国の未払賃金立替払制度を利用することも有効です。具体的方法はNPO法人ひょうご働く人の相談室に相談して下さい。

Q27 会社が倒産し、経営者は行方不明です。社会保険等の手続きはどうしたらいいですか。
 回答

まずは、担当の役所窓口に相談しましょう。

退職に関する事務処理は、通常は会社を通じて行われるのが原則です。ご質問のような非常時は、それぞれ、担当の役所の窓口で説明し必要な手続をするしかありません。受け付けた役所では、事実の確認をすることになります。

経営者が行方不明でも、会社の後始末を任された弁護士がいれば、その人が社長の代わりに処理することになります。

担当の役所の窓口でも単に倒産の事情を説明しただけでは、退職処理をするわけにはいきません。その時までその会社に勤務していたこと、倒産して解雇(または、退職)となったことなどが、事実かどうかを確認してもらうことが必要となります。

まず、担当の役所がどこかを知ることから始まります。雇用保険は公共職業安定所(ハロ-ワ-ク)、健康保険の給付や任意継続被保険者等に関しては全国健康保険協会(協会けんぽ)、健康保険・厚生年金の加入や保険料の納付および年金全般に関しては年金事務所、税金は、所得税は税務署、住民税は市・区役所が担当します。それぞれの役所に何の手続をしたいのかを説明し、そのためにどのような資料が必要かを確認してください。なお、健保組合、厚生年金基金などに加入していれば、その組合や基金が窓口になります。

賃金明細書のほかの資料として、「解雇通知書」、各保険の被保険者証、破産管財人からの通知などが考えられます。

Q28 賃金や労働条件が約束とあまりにも違うので退職したいのですが。
 回答

明示された労働条件と実際の労働条件が違う場合には、労働者は直ちに契約を解除することができます。

事前に明示された労働条件と実際の労働条件が違う場合には、労働者は直ちに契約を解除することができます(労働基準法第15条第2項)。

通常、退職したいときは、就業規則で定められた手続きに従い、退職届を提出します。一般的には1ヶ月前に申し出るように定めているところが多いですが、2週間前に退職を申し出れば、いつでも契約を解除できます(民法第627条)。

「代替えの従業員を見つけてこい」と言って、辞めさせてくれない会社もありますが、労働者がする仕事ではありませんので、心配せずに退職して構いません。

また、退職手続きと称して、膨大な引き継ぎ書類の作成などを義務づけ、結果、簡単には退職できないようにする会社があります。そのときも、できないことはできないとはっきり伝え、期日が来たら退職して構いません。

Q29 同業他社に転職したら「そんなことは許さない。」と退職金をくれません。
 回答

退職後は労働者に職業選択の自由があり、一般的に競業避止義務を負うものではありません。

会社と競業関係にある同業他社に就職したり、同業を営む事業を開業してはならない義務を競業避止義務といいます。しかし、就業規則などの特約で競業避止義務を定めていた場合についても、その適用の可否は具体的事情によって異なります。

判例では退職後の労働者には職業選択の自由があり(憲法第22条)、雇用の流動化が進む今日、労働者は職業上習得した知識技能や経験を糧に生活していかざるを得ないので、無限定で一般的な競業避止義務を負ういわれは無いとされています。

顧客を大量に奪ったり、従業員を大がかりに引き抜いたりするなど、背信性が極端な場合は、特約に基づく措置以外に、損害賠償責任を負わされる場合もあることに注意しましょう。

職業選択の自由を前面に出して交渉したり、退職金額によっては、少額訴訟(60万円以下)や通常の訴訟に訴える方法も考えられます。NPO法人ひょうご働く人の相談室に相談して下さい。

Q30 会社から、「退職したら、資格取得の為に援助した費用は返還してもらう」と言われたのですが。
 回答

労働者の人身拘束を禁ずるため、違約金の定めや損害賠償額の予定をすることを禁じています(労基法第16条)。

会社での業務を行う上で絶対に必要な研修を受けた場合、研修の負担は「使用者として当然なすべき性質のものであるから」これを労働者に求めること自体が不当です。

ただし、労働者の申出による資格取得等に関係する費用を使用者が負担し、1年間就労すれば費用返還を免除し、それ以前に退職するときは返済するという約定は有効とする判例があります。

つまり、会社の返還請求額が合理的な実費であり、使用者による立替金と認められ、免除までの就労期間が短期である場合は「労働者に対し、使用関係の継続を不当に強要するものとは考えられない」という事になります。

会社の主張に合理性があるのか、退職の自由を制限する不当な主張なのか総合的に判断する必要があります。

Q31 永年勤めた会社を退職しましたが、退職金はないと言われたのですが。
 回答

退職金は、必ず支給しなければならない賃金ではありません。

労働基準法(第89条)では、退職金の定めをする場合には就業規則に記載しなければならないと定めているだけです。法律的には、規定が無ければ退職金を貰えなくてもやむを得ません。

まずは、就業規則の内容や退職金規定の有無を確認してください。就業規則本体には定めず、別に「退職金規定」を設けている場合もあります。また、小規模の企業等で就業規則を設けていない場合などでも、過去の慣例があればこれに従うことになります。過去に退職した人が退職金を貰っていれば、その例に習って退職金の支給を受けることができる場合もあります。ないと思われていた退職金規定が存在していることもあります。

Q32 会社を辞めたいのですが、そのための手続と社会保険や税金の問題について教えてください。 
 回答

まず就業規則等会社の規定を確認してください。

退職届を出す前によく考え、関係機関に問い合わせる等調査した上で意思決定をしましょう。

退職の意思を固めた場合は退職届を会社に提出します。

雇用保険を受けるため会社から離職票を受け取り自分の住所地を管轄するハローワークに提出します。雇用保険の受給には、過去1年間に6か月以上の加入期間が必要です(例外あり)。また、他社での加入期間を通算できる場合があります。自己都合退職の場合等には3か月以内の期間で、支給を延期される場合があります。

社会保険(健康保険・厚生年金)については、会社が年金事務所に提出した資格喪失届に基づいて発行される資格喪失確認書を添えて、本人が区・市役所(町村役場)に国民健康保険・国民年金の加入手続をします。退職後も2年間加入し続けられる制度(任意継続被保険者)もあります

所得税・住民税は通常会社で調書を提出してくれますが、転職した場合は、源泉徴収票をもらって新しい会社に提出し年末調整を受けます。源泉徴収票は他にも使用する重要な書類であり、必ず発行をしてもらってください。退職後に思わぬ負担が生じることもあるので注意が必要です。

退職金を貰った場合には翌年確定申告が必要な場合があります。所得税については税務署、住民税については区市町村税務課・都道府県税事務所にご相談ください。

男女平等・ハラスメント

Q33 パワーハラスメントはどのような場合に認められるのか
 回答

厚生労働省は以下のように定義し、6類型しています。

職場のパワーハラスメントとは、「同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為」です。

  1. 身体的な攻撃
    暴行・傷害 
  2. 精神的な攻撃
    脅迫・名誉毀損・侮辱・ひどい暴言 
  3. 人間関係からの切り離し
    隔離・仲間外し・無視 
  4. 過大な要求
    業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害 
  5. 過小な要求
    業務上の合理性なく、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと 
  6. 個の侵害
    私的なことに過度に立ち入ること 

具体的に、どのような行為が、どれぐらい行われたかによって判断されますが、民事上、上司に対して不法行為責任(民法第709条)、会社に対して不法行為責任(同法第715条)、債務不履行責任(同法第415条)を追及することができる可能性があります。

退職金を貰った場合には翌年確定申告が必要な場合があります。所得税については税務署、住民税については区市町村税務課・都道府県税事務所にご相談ください。

Q34 「産休・育休を取りたい」と申し出たら「雇用の継続をしない」と言われたのですが。
 回答

女性労働者が婚姻、妊娠、出産したことや、産前産後休業を取得したこと、妊娠中及び出産後の健康管理に関する措置を求めたこと等を理由として、解雇その他の不利益取扱いをしてはなりません(育児・介護休業法第10条)。

有期雇用労働者も同様で、会社は、産休・育休・介護休暇取得による不利益扱いをしてはなりません。同一の事業主に1年以上雇用され休業復帰後も引き続き雇用されることが見込まれる場合は、育児・介護休業を利用できます(育児介護休業法第5条)。

出産予定の前に6週間前(多胎妊娠14週)、出産後8週間休業を取ることができます。(労基法第65条) 

Q35 上司からしつこく飲食に誘われ、断ったら人事評価を下げられたのですが。
 回答

明らかにセクシュアルハラスメントに当たり許されません。

セクシュアルハラスメントとは、相手方の意に反する性的言動で、それに対する対応によって仕事を遂行する上で、不利益を与えたり、就業環境を悪化させることです。

事業主には、雇用する労働者がパワハラやセクハラのない良好な環境で仕事ができるようにする「安全配慮義務」があり、相談窓口を設置する義務があります。

まずは、相談窓口や労働組合に相談して、改善されないときはNPO法人ひょうご働く人の相談室にご相談してください。

民事上、上司に対して不法行為責任(民法第709条)、会社に対して不法行為責任(同法第715条)、債務不履行責任(同法第415条)を追及することができる場合があります。 

労働条件の不利益変更

Q36 会社が、一律10%賃金ダウンの新賃金規程を発表しましたが、この提案は受け入れなければなりませんか。
 回答

合意なしに就業規則を不利益に変更することは、原則許されません。

賃金、退職金等の労働条件の変更は、高度の必要性に基づいた合理性が求められます。賃金規定は就業規則の一部です。就業規則を一方的に不利益に変更することは原則として許されません(労働契約法第9条)。

ただし、会社が労働者に変更後の就業規則を周知させ、その変更が合理的である場合には、就業規則の変更によって労働条件を変更することができます。

就業規則の変更に合理性があるかどうかについては、①労働者が受ける不利益の程度、②労働条件の変更の必要性、③変更後の就業規則の内容の相当性、④労働組合との協議の状況などに照らして判断します。(労契法第10条)

なお、就業規則の変更手続は、労働者代表(労働組合又は労働者の過半数の代表者)の意見を聴くこと、労働基準監督署に届け出ること、労働者に明示することが必要になります。

Q37 会社から、「関連の子会社に行け」と言われたのですが。
 回答

別会社への異動には、「出向」と「転籍」があり、「転籍」の場合は、本人同意が必要です。

  1. 出向
    出向とは、今までの会社との雇用関係を維持したまま、別会社の業務に従事する人事異動のことです。
    労働契約、就業規則や労働協約などに「業務上の必要があれば、出向を命じる」旨の規定がなければ、出向を命じることはできません。また、規定を根拠に出向命令が認められるためには、出向条件が明確になっており、労働者に不利益にならないように配慮されている必要があります。
    出向命令には、業務上の必要性と、出向により労働者が被る不利益とを比較し、均衡のとれたものであることが必要です。
  2. 転籍
    転籍とは、いまの会社を辞めて別の会社に雇用を移すことを言います。そのため、労働者の同意がなければ、使用者としての権利を第三者に譲渡できません。
    労働契約、就業規則、労働協約で「転籍を命じる」旨の規定があったとしても、本人の個別の同意がない限り転籍をさせることはできません。
    転籍は、いまの会社に戻れない『片道切符』なので、転籍を検討する段階から、転籍の必要性や転籍先・転籍後の賃金・労働時間等の労働条件を確認します必要があります。

これらは、あくまでも一般的な考え方を示したものです。

個別事例によって変わることがありますので、詳しくはNPO法人ひょうご働く人の相談室までお問い合わせください。