NPO法人 ひょうご働く人の相談室

わたしたちは、労働相談を専門に活動するNPO法人です。


どこに相談したらいいか分からない

職場のトラブルの悩みを抱えて国の出先機関に相談した人は、一年間に実に100万件を超えています。 

一方で、サービス残業やパワハラなど、職場の深刻な問題に直面してもどこに相談したらいいのか分からない、行政や労働組合はどうしても敷居が高い、弁護士事務所は費用もかかる・・など泣き寝入りしているケースが多いのも実情です。 

多くの人が、誰にも相談できずに悩みを抱えたまま辛い思いをしています。


経験豊かな会員が無料で相談

気軽に職場のトラブルを相談できる場所を作りたい!

そんな思いで、労働相談の経験豊かなメンバーが中心になってNPOを設立しました。労働組合のほか、弁護士や社会保険労務士、心理カウンセラーなどの専門家、そして労働災害や貧困に直面する人、外国人などを支援するNPO法人・NGOなどの団体とも連携して相談活動を進めています。


相談・解決の事例

事例 1

新型コロナ感染症後遺症で労災認定された
相談内容 佐々木さん(仮名)は、高齢者福祉施設の職員ですが、職場で新型コロナのクラスターが発生し本人も感染して入院、自宅療養を余儀なくされました。一旦は職場復帰するも、倦怠感などの後遺症が悪化し再び長期の自宅療養を強いられています。

 

相談室のアドバイス

労働災害を専門とするNPO法人ひょうご労働安全衛生センターを紹介しました。

アドバイスを受け、労働基準監督署に書面を提出して病状や生活の実態を詳しく説明しました。

結果 新型コロナ感染症に加え、その後遺症も含めて労災と認められました。
ポイント 感染に至った経過、及び療養(休業)せざるを得ない健康状態を具体的に説明することが大切です。
事例 2 非正規職員には休業手当が支給されない?
相談内容 藤原さん(仮名)は、民間法人の保育所の非正規職員です。コロナの影響で休業が増えましたが、正規職員には休業手当が出ているのに、非正規職員はシフト制という理由で支払われませんでした。
相談室のアドバイス 「払ってもらえないなら労働基準監督署に申告する」と申し入れるようにアドバイスしました。
結果

法人は、労働基準監督署に照会してアドバイスを受けたようで、非正規職員にも支払いがされるようになりました。

ポイント 正規労働者と非正規労働者の間で、不合理な差別は許されません。また、基本的にシフト制であっても休業手当の対象です。
事例 3 新型コロナの影響なのに「自己都合退職」と言われた。
相談内容

中村さん(仮名)は、これまで働いてきた店舗がコロナの影響で閉店するため、別の店舗に移るように言われました。

しかし、そちらは早朝のシフトがあり家庭の事情で難しいと断ると、雇用保険は自己都合退職にすると言われました。

相談室のアドバイス 離職票に「離職者本人の判断」の欄があるので、「会社の主張に異議あり」に〇印を入れて提出するようにアドバイスをしました。
結果 ハローワークが中村さんと会社に事情聴取をしたうえで「特定理由離職者」になりました。
ポイント 雇用保険の退職理由の判断は、会社と労働者の主張を聞いた上で最終的にハローワークが行います。おかしいと思ったときはハローワークに詳しく事情を説明して下さい。
事例 4 会社が辞めさせてくれない
相談内容 山本さん(仮名)は、「月額20万円保障」という募集を信じて就職したが、実際は5万円程度の残業代込みの金額だった。「条件が約束と違うので辞めたいと言ったが、会社が認めてくれない」と相談室へ。
相談室のアドバイス 採用時の契約内容と実際の労働条件が違った場合、労働者から直ちに労働契約を解除することができるので、会社に毅然と退職の意思を伝えたらよいとアドバイス。山本さんは会社に退職届を提出しました。
結果 会社は、拒否することはできず、あっさりと退職を認めました。
ポイント ともかく、労働者は、最初の労働契約の内容をよく確認しておくことが大切です。

事例 5

上司のパワハラを受けてうつになった
相談内容 佐藤さん(仮名)は、上司から理不尽なパワハラを受けた結果うつ病を発症し、出勤と休業を繰り返すようになり、色々なところに相談したが解決できないと相談室へ。
相談室のアドバイス

相談室は、労働組合が必要と判断してユニオンを紹介しました。

(ユニオンとは、正規・非正規、所属企業等を問わず一人でも入れる労働組合です)

結果 佐藤さんは、ユニオンに加入。ユニオンに団体交渉をしてもらい、長時間労働や上司の暴言などの実態を明らかにすることで、労働災害の認定を受けるとともに、会社の安全配慮義務違反を理由に慰謝料も認めさせることができました。佐藤さんは、その後短時間勤務で徐々に体調を回復して、現在は元気に職場復帰しています。
ポイント 暴言の録音、具体的な言動のメモ、そして同僚の証言、病院の受診記録等、できるだけ客観的な証拠が大切です。
事例 6 残業代の割増分を払ってくれない
相談内容 山田さん(仮名)は、パート労働者です。一日8時間を超えて働くことがあるのですが、会社は「パートだから週労働時間が少なく割増はつかない」と、残業代の割増分を払ってくれないと相談室へ。
相談室のアドバイス 相談室は、明らかに労働基準法違反なので労働基準監督署に行くようにアドバイス。労働基準監督署には、「相談」ではなく「申告」とはっきりと告げるよう注意しました。
結果 山田さんの申告を受けて労働基準監督署が会社に調査に入り、その結果、正社員にも未払い賃金があることが分かり、対象者全員に未払い賃金が支払われました。
ポイント 実際に働いた時間が分かるタイムカードやパソコンの記録、それがない場合は時間を類推できる資料やメモ等、できるだけ客観的な資料が大切です。